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今月のワード:期間満了PFI
2019年2月26日、内閣府PFI事業推進委員会事業推進部会は「期間満了PFI事業の検証」の調査結果を示し、期間満了を迎えたPFI事業のその後の事業、「次期事業」についても言及した。

国が、期間満了PFI事業の検証およびその次期事業に言及した背景には、官民連携という概念が広まる契機となったPFI法施行から約20年が経過したことがある。この20年間でPFI手法により実施された事業は666件に上る(2018年3月末時点)。同時に、PFIに限らない様々な手法によりPPP/PFI事業は増加してきた。今後、これらの事業が次々と事業期間の満了を迎える。

国は、「事業期間が満了したPPP/PFI事業について、事業期間中に発生した効果・課題等を官民双方の視点から検証する」(PPP/PFI推進アクションプラン<平成30年改定版>)としており、同調査は、その検証の第一弾である。
事業効果の測定結果は次期事業スキーム検討の土台になる
同調査は、2019年度末までに事業期間が満了する122事業を対象に実施された。調査結果によると、PFI導入時に期待した効果は、期間満了時にもおおむね発揮されたと評価された。財政負担(事業費総額)の縮減、財政負担の平準化という公共財政に関する内容、公共の事務負担の軽減、サービス水準の向上という事業の効率化や向上に関する内容のいずれも、効果があったという回答が半数を大きく超えている。

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調査対象となった事業が、期間満了にあたり事業評価を実施したか、どのように評価したかについては、公表された調査結果では明らかにされていない。しかし、効率的・効果的な実施が求められる公共事業では、採用した手法が効果的であったかを検証し、次に生かすことが重要であることは明白だ。

2018年に、英国政府は新規にPFIおよびPF2を実施しないと発表した。その背景にあるのは実施事業の効果が不明瞭ということであった。

現在、日本では、期間満了時には当該事業の効果を検証することを求められていない。だが、信頼に足る形で事業の効果測定ができれば、当該事業の実施意義を明らかにできるだろう。また、例えば、整備、維持管理、運営などという項目別にVFMを検証することができれば、どの項目が当該手法を選択して効果的であったかも明らかにすることができる。それを次期事業のスキーム、例えば官民の役割分担などの検討に生かすこともできるのではないか。
次期事業の受注者の63%が現事業者と異なる
同調査によると、次期事業の受注者のうち63%が当初事業を実施した事業者とは別の事業者となっている。つまり、事業者にとっても、次期事業が適切な条件であれば、新規参入は可能であるということだ。次期事業を適切なものとするためには、事業の効果検証は欠かせない。次期事業が施設整備を含む事業、運営を含む事業などになれば、事業者としては更なるビジネスチャンスとなる可能性もある。

国は、2019年度も引き続き、期間満了を迎えた事業について、調査を継続する方針であり、その結果を踏まえて各種の施策などへ反映していく予定としている。日本において、期間満了事業の評価を適切に行い、次期事業へ効果的につなげる仕組み(PDCAサイクル)が確立されることを期待したい。

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川嶋 まさみ(かわしま・まさみ)
みずほ総合研究所 社会・公共アドバイザリー部 主任研究員
内閣府や国土交通省をはじめとする中央省庁および地方公共団体の政策調査、PPP/PFI事業化アドバイザリー業務などに従事。スポーツや観光の分野から、空港や上下水道のインフラ分野まで、多岐にわたる調査実績がある。ソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)など、新しい社会的投資モデルに関する調査研究も担当。主な論文に「PDCAサイクルの導入による事業の効果測定が不可欠」(金融財政事情)、主な講師実績に「官民連携事業の推進のための地方ブロックプラットフォーム研修」(国土交通省)、「PPP/PFI研修」(国土交通大学校)。早稲田大学卒業。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)。みずほ銀行にて産業調査などの経験を経て、みずほ総合研究所出向(現職)
 
 
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